佐藤 淳一

総合電機株式会社
代表取締役

これだけは譲れない“なにか”を持て


SATO JUNICHI

総合力で信頼を重ねる長崎の電気工事会社

長崎の地に根ざし、電気という“見えない力”を自在に操りながら、人々の暮らしを快適に照らし続ける、総合電機株式会社。の舵を握るのは、代表取締役の佐藤淳一氏だ。創業以来、住宅から大型施設まで、照明・空調・配管工事を一手に担ってきた企業は、今や再生可能エネルギーやBCP(事業継続計画)対策にも果敢に挑む総合力を誇る。その舵を取り、会社の未来を見据える佐藤の横顔は、まさに長崎の力強い風土を体現している。

都心との“情報”の鮮度差をどう解消するか

創業は1976年。創業時は特約店・販売店としてスタートした。約半世紀の実績を持ち、現場経験を重視する風土を持つ。佐藤は、創業者である父の背中を見て育ってきた。幼いころから電気工事を家業として身近な存在だったという。しかし、総合電機株式会社に入社したのは29歳。それまでは携帯電話の法人営業という全く違う畑で、足をひたすらに動かしていた。法人の代表層や決裁権者に対して切り替え提案から使い方の説明まですべてを担当。20代でかけがえのない大きな経験を積むことができたと佐藤は当時を懐かしむ。

総合電機に入社してからの10年間、佐藤はヘルメットをかぶってゼネコンの現場に入った。分からないことがあると厳しく叱られることもあったが、その経験を通して現場の品質維持や淀みない進行管理能力を身につけることができたという。

その後父が築いた電気特約店としての基盤を受け継ぎつつ、自らの手で土台を掘り下げ、蓄電池や太陽光発電といった再生可能エネルギー事業へと大きく舵を切る。地元・長崎に情報の鮮度差があることをいち早く察し、東京の最先端プレイヤーやコンサルタントと交わることで、他社が追いつけないスピード感で“次世代のソリューション”を取り込んできた。

少数精鋭で実現する事業の多角化

今、総合電機株式会社は電気工事・管工事の伝統的事業と並行し、BCP対策としての非常用発電設備、蓄電システム、さらにはPPAモデルによる第三者保有型太陽光発電へと領域を広げている。LED照明や高性能エアコンの導入支援では、初期投資0円プランまで提案。補助金申請から施工、運用、メンテナンス、さらには税制優遇のコンサルティングまで、一気通貫のソリューションを提供する。あまりにも幅広い事業展開が実現できる総合電機、佐藤はその理由をこう語る。「電気工事という本業を軸に、そこから派生して延長線上にある事業を展開しています。建設業が飲食業や宿泊業に手を広げる例もありますが、当社はあくまで『電気』を中心に据え、時代のニーズに合わせて新しい領域を先取りしながら柔軟に拡大しているだけですよ」

現在の従業員は20名という少数精鋭、だからこそ一人ひとりに裁量を持たせられる環境をつくれると佐藤は言う。「信頼は、現場から得ることができる。現場で信頼を培ってきた社員が、監督や指示を徹底的に行うことで、トラブルも少ないのが強みですね」

“根っこを深く掘る”というプライド

未来に向けて、佐藤は大きな夢を描く。次なる50周年、60周年を経て「100年企業」へと歩みを進めるために、“IPOを目指す会社づくり”を掲げ、幹部とビジョンを共有。一つひとつのプロジェクトが「市場から恥ずかしくない規模」を追求するのだ。そのための人材強化策として、新卒採用を本格化させ、次世代のリーダーを育成する体制を整えつつある。

そんな佐藤のこだわりは、“根っこを深く掘る”ことにあるという。「表面を大きく華やかに見せるだけでは、いずれ倒れる。だからこそ、どんなに時間がかかっても、土台を強固に築く。これが我々のプライドです。環境は変われど、根っこは変わらない。自分だけの“これだけは負けない”というスキルや強みを掘り下げ、深く追求すれば、どんな時代の風にだって負けることはないはずです」。柔らかな笑顔の裏に秘められたその言葉には、熱い鼓動が宿っている。

佐藤 淳一

総合電機株式会社 代表取締役

携帯電話の法人営業で決裁者との商談やプレゼン経験を積んだ後、父の創業した29歳で総合電機株式会社に入社。10年間は現場兼任で電気工事を経験し、現場の知見を深める。2代目社長に就任して2025年で10年を迎える。社員が安心して挑戦できる風土を基盤に再生可能エネルギー事業などを推進している。