長尾 優輝

NK Wealth Management株式会社
代表取締役

一つ、毎日続けること


NAGAO YUKI

少数精鋭の金融専門集団

Independent Financial Advisor:IFA。特定の証券会社に属さず、顧客の利益に軸足を置きながら金融商品の提案や資産運用の助言を行う独立系アドバイザーのことだ。顧客本位を掲げるならば、本来このスタイルが正解だったはずだ。しかし現実はどうだ。かつての証券マンたちはノルマという亡霊に取り憑かれ、顧客目線どころか自社の商品を売ることに躍起になっていた。そんな風土に、一陣の風を吹き込んだのがIFAである。

彼らは自らの裁量で顧客と向き合い、ときに数十年単位で信頼を築いていく。商品ではなく「人」に価値が宿るこの仕事は、営業という言葉では表現しきれない深みを持っている。もちろん金融リテラシーが不可欠で、相応の覚悟も必要だ。だがそのぶん報酬も、自由も、信頼も、等価交換で手に入る。縛られない働き方がここにある。金融という海を泳ぐ“独立航海者”たち。それがIFAだ。

NK Wealth Management株式会社。わずか7名の布陣。が、その小ささが逆説的に〈自由〉を約束していた。特定の金融機関に属さず、顧客の隣に立つ、IFAという選択肢。代表取締役・長尾優輝、1992年生まれ。証券会社の営業で叩き込まれた熱量を、今は「中立」という旗の下で、会社を動かす動力源に昇華している。

営業の本質

2015年。大阪の大通りを自転車で流し、彼は一日100枚の名刺を配った。半年間、口座は一つも開けなかった。雨の日はスーツの裏地まで濡れ、真夏はネクタイの汗が塩を吹いた。それでも走り続けた理由は単純だった。「行動量だけは誰にも負けたくなかったので」

最初の契約は、ひとりの税理士が孫のために買ったタカラトミー株。株価が跳ね上がった日、老人の皺が深くなるほどの笑顔を見て、長尾は営業の本質を悟る。「数字の先には、確かに人がいる」。その確信を積み上げ続けて、2022年、個人IFAとして独立。

だが本当の試練はその先にあった。2024年4月、法人化を決めた彼らを待っていたのは、財務局の許認可という、厚いコンクリートの壁だった。内部管理体制を練り直し、申請書が差し戻され、修正し、再提出。足掛け、一年。焦燥と疲労の渦をくぐり抜けた後で得た登録番号は、創業メンバーを強固に結束させる錠前にも鍵にもなった。

「線」で積み上がる信頼

いま彼が手にする武器は「選択肢」だ。複数の証券会社、保険会社、税理士・弁護士…専門パートナーの群像を自在に編み替え、顧客一人ひとりにフィットするポートフォリオを象り直す。転勤がない。だからこそ信頼は『点』ではなく『線』で積み上がる。

社内文化は驚くほどフラットだ。社員ではなく「志を共にする仲間」。肩書きが威嚇の記号に堕する前に、互いを「家族」に近い距離で呼び合う。長尾自身、マネジメント専業を選ばず最前線に立つ。「顧客の声が遠くなると、金融はただの数式になる」。この一文が社内チャットのトップにピン留めされているのだという。

毎日続けること

3年以内に“九州ナンバーワン”の預かり残高…しかしそれは通過点に過ぎない。視線の先には、東アジアがある。上海で、ソウルで、日本生まれの“独立系ウェルス”を機能させる。そのために今年中に保険代理店の許認可も取りにいく。運用と保障を縫い合わせ、顧客の未来予想図をより立体的に描くためだ。

若者へのメッセージを乞うと、彼は少しだけ言葉を選んだ。「好きなことを、一つでいい。毎日続けること。それが遠回りに見えて、一番速いと思います」100枚の名刺を雨に濡らしたその男の言葉に、虚飾はない。顧客の〈人生〉に潜り込み、数字に熱を注ぐ。仕事が楽しくてしかたがないという顔だった。

長尾 優輝

NK Wealth Management株式会社 代表取締役

1992年香川県生まれ。2015年桃山学院大卒業後にSMBC日興証券入社、大阪・長崎で富裕層資産運用を担当。2022年IFAとして独立、2024年NK Wealth Management設立、代表取締役。中立IFAモデルを九州発で展開し、保険・税務を含む総合金融パートナーを目指す。